高市氏の著書を手にとる際、最初に選ぶべきは2026年の総裁選直前に上梓され、爆発的な販売部数を記録した『美しく、強く、成長する国へ 私の「日本経済強靱化計画」』(PHP研究所)です。本書は、アベノミクスの「3本の矢」を総括しつつ、自らが掲げる「ニュー・アベノミクス(サナエノミクス)」の基本理念を明文化した決定版といえます。
本書が一般的な政治家の理念書と一線を画しているのは、スローガンに終始せず、危機管理投資と成長投資という2つの明確な財政出動枠組みを提示している点です。エネルギー安全保障、食料自給率の向上、先端半導体の国内開発拠点整備といった具体的課題に対し、どの省庁がどのような予算と法整備で対応すべきかが微細に記されています。政策立案の現場を知る総務相経験者ならではの官僚機構への解像度の高さが、専門家からも高く評価された理由です。
次いで注目すべき一冊が、2026年秋に刊行された『国力研究――日本経済復活の処方箋』(産経新聞出版)です。ここでは「外交力・防衛力・経済力・技術力・情報力・人材力」という6つの総合的な国力概念が提示され、2026年現在の国際情勢にも直結するサプライチェーンの脆弱性や情報保全体制の不備に鋭く切り込んでいます。地政学的リスクがビジネスに直結する現代において、企業経営者やリスク管理担当者が実務的な示唆を得られる構成となっています。