なぜ人は周囲から煙たがられる態度を取ってしまうのでしょうか。その心理的背景には、「自身のアイデンティティや積み上げてきたキャリアが無価値になることへの強い恐怖」が存在します。環境が激変する中で、従来のスキルセットや知識が通用しなくなる不安から、過去の実績を過剰に誇示して自己防衛を図ろうとするのです。
加えて、加齢に伴う脳の認知柔軟性の低下や、立場が上がることで周囲から批判・指摘されなくなる「フィードバックの欠如」も大きな原因です。誰も苦言を呈してくれない環境が、本人の独善的な振る舞いを助長させていきます。
なお、老害とパワハラ(パワーハラスメント)は混同されやすいものの、本質的な性質が異なります。パワハラは職務上の優位性を背景に、意図的あるいは過剰な威圧・暴言によって相手の人格や権利を侵害する違法性の高い行為です。対して、いわゆる老害的な言動は「本人に悪意がなく、善意や教育的配慮と思い込んでいる」ケースが多く、法的な処罰の対象になりにくい人間関係の歪みとして現れます。