森林を巡る議論で最も混同されやすいのが、「日本三大美林」と「日本三大人工美林」の境界線です。三大美林が「自然の更新力によって世代交代してきた天然林」であるのに対し、人工美林は「人間が苗木を植え、枝打ちや間伐を施して育て上げた育成林」を指します。
双方の構造的な違いと代表格を客観データで比較した一覧が下表です。
天然林と人工林の最大の違いは、生態系の成り立ちにあります。天然林である日本三大美林は、世代の異なる多様な植物や下層植生が混在し、長い歴史のなかで風倒木の隙間から次の世代が立ち上がる「林冠のダイナミズム」を有しています。一方の日本三大人工美林(吉野・尾鷲・天竜)は、通直で節のない美しい柱材を得るために、江戸時代から計算し尽くされた密植技術と間伐のたまものであり、いわば「森林工芸品」と呼ぶべき人間の英知の結晶です。