日本の裏社会を紐解く上で避けて通れないのが、博徒(ばくと)とテキヤ(露天商)という二大ルーツの存在である。彼らはそれぞれ全く異なる独自の隠語と符丁を発達させていた。
サイコロや札を使って全国を渡り歩いた博徒は、警察の追及を逃れるために高度な暗号言語を使用した。一方、縁日や祭礼で露店を切り盛りしたテキヤは、仲間内の結束を固めるための専門用語を共有していた。これらのアウトサイダーたちが江戸後期から明治にかけて入り乱れ、言葉を交換し合う過程で、「ヤクザ」という言葉は裏社会全体を括る汎用的な記号へと昇華していったと考えられる。