本作が残した最大の爪痕は、風俗的・文化的なインパクトにとどまらず、日本の法規制と映像流通の制度設計を根本から作り替えた点にあります。本作の記録的ヒットを機に、同様のアンダーグラウンド作品が雨後の筍のように乱立し、繁華街での路上販売が白昼堂々と行われる事態となりました。
これに対し、警察当局は刑法175条(わいせつ物頒布等の罪)を適用し、全国規模での一斉摘発に乗り出しました。ダビング工場や販売拠点が次々と捜索を受け、摘発件数が急増したことで、業界内には「このままでは映像産業そのものが崩壊する」という強い危機感が広がります。この事態を受けて1982年に発足したのが、日本ビデオ倫理協会(通称:ビデ倫)をはじめとする自主規制審査機関です。
審査基準の厳格化、成人向け作品の適正なラベリング、販売店の許可制導入など、現在のセル・レンタルビデオ業界の骨格は、すべて本作を契機とするアングラ市場の暴走を抑制するために構築されたものでした。つまり、本作は単なる一過性のブームではなく、日本のメディア規制史における最大の転換点となった歴史的特異点といえます。