昭和64年という極めて短い期間は、フィクションの世界においても強いインスピレーションを与え続けている。その筆頭が、横山秀夫による小説を原作とした映画『64-ロクヨン-』だ。本作は、昭和64年のわずか7日間に発生した少女誘拐殺人事件(通称「ロクヨン」)を軸に展開する重厚な社会派ミステリーである。
元号が変わる混乱の最中に起きた未解決事件という設定は、昭和という時代の終焉が持つ独特の哀愁や閉塞感を見事に表現している。警察組織の内部対立や広報官の葛藤を描いたこの作品は、日本映画界でも高い評価を獲得し、「昭和64年」という特別な年が持っていた緊迫感を現代に伝える役割を果たしている。