「イスラームの施設は信徒以外を拒絶しているのではないか」という懸念を抱く人は多いですが、結論から言えば、日本国内の多くの主要モスクは異教徒や一般人の見学を基本的に広く受け入れています。なかでも年間を通じて多くの来訪者を迎える東京ジャーミイ見学においては、開門時間内であれば予約不要で自由に見学できるエリアが設けられており、週末には日本語による定例ガイドツアーも実施されています。
ただし、そこが観光名所である以前に「敬虔な祈りの場」である事実を忘れてはなりません。訪問者が最も留意すべきは女性の服装規定とヒジャブの扱いです。女性は手首から先と足首から下、顔以外の肌を露出することが禁じられており、短パンやミニスカートはもちろん、胸元の開いた服やノースリーブでの立ち入りは厳禁です。さらに頭髪を隠すため、スカーフ(ヒジャブ)の着用が必須となります。主要施設では見学者向けに貸出用スカーフが用意されているケースもありますが、大判のストールを自持して向かうのがスマートな作法です。男性の場合もタンクトップや膝上のハーフパンツなど、過度な露出は入場を断られる原因となります。
堂内における礼拝室のマナーと禁止事項で最も注意を払うべきは、「礼拝を行っている人の真正面を横切ってはならない」という鉄則です。イスラームにおいて、礼拝中の信徒と礼拝方角(キブラ)の間には神聖な空間が成立しており、そこを遮る行為は厳格に戒められています。また、館内での写真撮影自体は許可されている場合が多いものの、礼拝に集中している信徒の顔を無断でアップ撮影することや、フラッシュを焚く行為は固く禁じられています。足元は土足厳禁であり、入口で靴を脱いで下駄箱へ収め、静粛を保ちながら鑑賞するのが訪問者の最低限の義務です。