一休の生涯を決定づけた最大の要因は、その出生にある。母は南朝の高官の娘であり、父は北朝の第100代・後小松天皇。つまり彼は、時の帝の血を引く「落胤(らくいん)」だった。だが、足利将軍家による南北朝合一の政治的綱引きのなかで、南朝に連なる母子は宮廷を追放され、一休は寺に幽閉同然で預けられることになる。
室町幕府の全盛期を築き、金閣寺を建立した室町幕府3代将軍・足利義満。アニメでは気さくで少し抜けた好敵手として描かれた義満だが、史実の一休にとって義満とその権力構造は、自らの皇位継承権を奪い、母を追いやった絶対的な抑圧の象徴であった。権力者に対する病的なまでの反発心は、生い立ちに刻まれた怨念に近い渇望から生まれていた。