しかし、静寂に包まれた領域にも人類の活動の影が忍び寄っている。地球規模の海水温上昇や海洋酸性化は、水深1,000メートルを超える深海層にまで影響を及ぼし始めている。酸素濃度が低下する無酸素層の拡大は、繊細な呼吸代謝を持つ生命にとって致命的な環境変化となりかねない。
加えて、レアメタルや海底資源の掘削に伴う泥煙の巻き上がりは、微細な触手や呼吸器官を傷つける恐れが指摘されている。海洋保護区の設定や環境影響評価の厳格化など、生態系を守るための国際的なルール作りが急務だ。未知なる生物の多様性を守ることは、地球全体の生命維持システムを守ることに直結している。