単なる景勝地にとどまらない深い奥行きを与えているのが、古代日本における劇的な伝承だ。この海岸一帯は古くから三韓征伐の伝説で知られる神功皇后にゆかりが深いとされ、軍船を仕立てて出航する際、この浜辺で戦勝祈願や神事を行ったという古記録が残されている。
海岸線から目と鼻の先に位置する奈多神社は、海の守護神や航海安全の神として古くから地域住民に深く崇敬されてきた。砂浜にぽつりと佇む鳥居も、かつて神々が降り立った聖地としての記憶をとどめており、波の音と松籟(しょうらい)が交錯する空間には、悠久の歴史を感じさせる荘厳な空気が漂っている。