役者の肉体を作るのではない。本物の力士の身体をゼロから構築する——それが制作陣の下した決断だった。キャスティングされた面々は、撮影開始の1年半以上も前からプロのトレーナーや栄養士、元力士らの徹底的な指導のもとに集められた。
課されたメニューは過酷を極めた。毎日の相撲基本動作である四股、すり足、ぶつかり稽古に加え、限界を超えるウエイトトレーニング。さらに、1日5000キロカロリーを超える壮絶な増量食が課せられた。吐き気を覚えながら白米と肉を流し込み、増量と筋力強化を同時に進める日々。数ヶ月で体重を20〜30キロ以上も増やした者も少なくない。
だが、単に脂肪をつけるだけでは土俵での激突に耐えられない。首や体幹を極限まで鍛え上げ、重い負荷に耐えうる肉体へと叩き直す。撮影現場では連日、擦り傷や打撲、筋肉の悲鳴が日常茶飯事だったという。本物の力士養成所さながらの過酷な鍛錬が、あの凄まじい画面の説得力を生み出したのだ。