未成年者が起こした重大犯罪における「実名・顔写真の報道」をめぐる議論は、法学界とメディア界の双方で最も議論が分かれるテーマの一つである。少年法第61条は少年の推知報道を禁じているが、これは更生と社会復帰を支援するための人道的な配慮に基づいている。しかし、事件の残虐性や社会的影響の大きさから「加害者の人権ばかりが守られ、被害者側の顔と実名が晒される不均衡」に対する国民的反発は根強い。
メディア側も長年にわたり葛藤を抱えてきた。犯罪報道の目的が再発防止や社会的警鐘にあるとすれば、加害者の容姿や生い立ちを特定できる形で報道することが正当化されるのか。あるいは、刑期を終え社会に溶け込んでいる元少年の「現在」を暴くことが単なる商業主義的な私刑(リンチ)に過ぎないのか。法改正を経た現在も、各報道機関はケースバイケースの慎重な判断を迫られている。