耳垢のタイプは大きく分けて、カサカサした乾燥タイプと、ねっとりと湿った湿性耳垢(軟性耳垢)の2種類が存在する。この違いを生み出している根本的な要因が、耳道内に存在するアポクリン汗腺の分泌活性だ。耳の穴にある腺から脂質やタンパク質を含む分泌物が盛んに出されることで、耳垢は湿り気を帯びる。
この生理現象の鍵を握るのが、DNA上のABCC11遺伝子である。遺伝医学・耳鼻咽喉科学の研究領域において、この遺伝子の特定部位の塩基配列によって汗腺の活性度が決定されることが明かになっている。長崎大学の吉浦孝一郎教授らが率いたABCC11遺伝子研究プロジェクトは、この遺伝子型と耳垢の性状との間に極めて強い相関があることを世界に先駆けて解明した。