香西かおり『流恋草』の真実|読み方と名曲誕生の軌跡を徹底解剖

香西かおり『流恋草』の真実|読み方と名曲誕生の軌跡を徹底解剖

香西かおり『流恋草』の真実|読み方と名曲誕生の軌跡を徹底解剖の特集記事をご紹介します。最新トレンドが詰まっています。

演歌・歌謡曲のタイトルには情緒的な当て字が多く用いられますが、本作の流恋草の読み方は「はぐれそう」です。一般的な植物図鑑にこの名の植物は実在せず、川の流れに身を任せて岸辺にたどり着けない「浮草(うきぐさ)」や、群れから離れた「はぐれ鳥」を想起させる、作詞家・斎藤夕紀氏による極めて詩的な創作物といえます。

本作の歌詞が描く世界観は、結ばれることの許されない「日陰の恋」です。夜の冷たい雨、温もりの消えた部屋、そして自分を置いて去っていく男の後ろ姿を追いかけられないやるせなさが、短い五七調のリズムのなかに凝縮されています。「あなたについて ゆきたいの」と心では叫びながらも、現実の厳しさに身を引かざるを得ない女性の諦念。単なる被害者意識ではなく、身を焦がすほどの恋情を抱いたからこそ宿る凛とした哀しみが、聴く者の涙腺を刺激します。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。