本作が「鬱展開」と評される大きな要因は、主要キャラクターたちの複雑な感情の絡み合いにあります。特に山本有里と竹内匡史(竹内くん)の存在は、物語に圧倒的な深みと痛ましさを与えました。
山本有里が矢野に執着し続けた理由は、姉・奈々の影に隠れて生きてきた劣等感と、矢野に対する歪んだ愛情でした。「矢野を縛り付ける唯一の鎖」として自らの不幸を利用し、矢野もまた罪滅ぼしのためにその依存を受け入れてしまいます。この共依存関係が、七美と矢野の距離を何年も引き離す決定打となりました。
一方で、読者から絶大な支持を集めたのが矢野の親友・竹内くんです。竹内は矢野を失い傷心する七美を傍で支え続け、一度はプロポーズまで漕ぎ着けます。しかし、七美の心の奥底に常に矢野がいることを悟り、自ら身を引く選択をします。誰よりも誠実でありながら報われない竹内くんの優しさと切なさは、連載当時から現在に至るまでSNS等で熱狂的な議論を呼んでいます。