彼女の魅力をひとつのジャンルに閉じ込めることは不可能だ。温もりあふれる家族の日常を描いたヒューマンドラマでは、観客の日常にそっと寄り添うような優しさを表現する一方で、息詰まるサスペンス映画においては、人間の闇や業を容赦なく体現してみせる。
東映をはじめとする大手映画会社が手掛けた大規模な作品から、エッジの効いたインディペンデント作品まで、演じた役柄の振れ幅は実に広い。狂気と隣り合わせの悲哀、あるいは日常のふとした瞬間に覗く孤独。どんな境遇の人物であっても、彼女が演じると確かな実在感が宿る。この卓越したカメレオンぶりこそが、長年にわたり監督たちから熱烈なオファーが絶えない最大の理由だ。