二人の関係性を語る上で、原作者・尼子騒兵衛の底知れぬ歴史造詣とキャラクター設計の巧みさを外すことはできない。プロの忍びとして生死の境界を生きる雑渡昆奈門と、医療と救護に己の志を捧げる善法寺伊作。彼らが共有する「薬草」や「包帯」といったアイテムは、本来は相反する戦と救護の象徴だ。
原作や関連書籍の端々に散りばめられた裏設定を紐解くと、雑渡が伊作の手当てを受け入れた背景には、単なる気まぐれではない忍びとしての合理的判断と、伊作の持つ「不運を超えた純粋性」への敬意が存在することがわかる。こうした妥協のない裏設定の存在が、物語に圧倒的な奥行きを与えている。