ネット上のレビューで時折見受けられる「待ち時間が長すぎる」「キャベツが多すぎて粉もん感が薄い」といった意見には、明確な構造的理由があります。これらは店舗の不手際ではなく、むしろ広島風お好み焼きという料理の本質に起因するものです。
生地と具材をボウルの中で事前に混ぜ合わせてから焼き上げる大阪風(関西風)のお好み焼きは、鉄板に乗せてから比較的素早く火が通ります。これに対し、きんさい屋 天満で提供される広島風は、極薄の生地、キャベツ、天かす、豚肉、茹で麺、玉子を幾重にも積み重ねる「完全多層構造」を採用しています。強い力で押し潰してしまうとキャベツの繊維が壊れ、水分が外に逃げてベチャついた仕上がりになってしまいます。ふんわりと蒸し焼きにするための時間は、極上の味を生み出すために削ることができない必須工程なのです。
「待たされる」というネガティブな捉え方は、店舗の楽しみ方を正しく知ることで完全に解消されます。常連客の多くは、お好み焼きが焼き上がるまでの20分間を「鉄板料理とお酒をゆっくり楽しむ豊かな助走期間」と位置付けています。名物の牡蠣焼きや牛すじポン酢をつまみながら、鉄板の上で自分の注文が形作られていくプロセスを眺めることこそ、同店を最も深く味わう王道の過ごし方です。