ハラペーニョ(Jalapeño)は、ナス科トウガラシ属に分類されるトウガラシの一種です。原産地はメキシコのベラクルス州にある都市「ハラパ(Xalapa)」で、その地名に由来して名付けられました。日本で一般に流通しているものは、未熟な段階で収穫された深緑色の果実ですが、完熟すると艶やかな深紅へと変化します。
多くの消費者が抱く「ハラペーニョ=激辛」というイメージは、実は大きな誤解に基づいています。辛さの中心となるカプサイシンは確かに含んでいますが、噛んだ瞬間に広がるのは、パプリカやピーマンを彷彿とさせるジューシーな水分と爽快な酸味です。果肉が5ミリ前後の厚みを持つため、乾燥唐辛子のように「調味料として微量を削り入れる」のではなく、「野菜としてザク切りにして食べる」ことができる稀有な唐辛子といえます。
本場メキシコ料理における唐辛子の種類を見渡すと、マイルドで肉詰め料理に使われる「ポブラノ」、小ぶりで鋭い刺激を持つ「セラーノ」、そして完熟ハラペーニョを燻製乾燥させた銘品「チポトレ」など、多彩なグラデーションが存在します。その中でもハラペーニョは、辛味・酸味・食感の黄金比を備えた「日常の主役」として、タコスやサルサには欠かせない国民的野菜の地位を確立しています。