緑に囲まれ、穏やかなせせらぎが広がる親水広場ですが、自然の河川である以上、プールとは異なる固有の危険が常に潜んでいます。猪野ダム水難事故の危険性と安全対策を軽視した結果、ヒヤリハットや重大な救助事案に発展するケースは毎年のように全国の水辺で報告されています。
猪野ダム直下から流れる猪野川は、一見すると足首から膝下程度の浅瀬が続いているように見えます。しかし、巨石の裏側や流れが湾曲するポイントには、大人の胸から頭上を超える深み(釜)が急激に形成されているエリアが存在します。浅瀬で遊んでいたはずの児童が数歩進んだだけで深みに足を取られ、水流に巻き込まれる事故は川遊び特有の構造的罠です。
さらに注視すべきは、川底に堆積したコケによるスリップ転倒です。濡れた岩場は氷上のように滑りやすく、頭部打撲や骨折の危険があります。一般的なビーチサンダルやクロックスでは水流で脱げやすく踏ん張りが利かないため、足首が固定されるウォーターシューズの着用が絶対条件となります。幼児から小学生はもちろんのこと、保護者も含めて国土交通省型式承認品または浮力基準を満たしたライフジャケットを正しく装着させることが、生存率を分ける最も有効な防護柵となります。
上流に位置するダムからの急な放流リスクも見逃せません。現地でサイレンが鳴動した場合や、上流側の空に暗雲が立ち込めて急な雷雨が予想される際は、たとえ手元の天候が晴れていても即座に水から上がり、高台へ避難する判断スピードが求められます。