北千住駅の改札を出ると、下町という言葉からは想像できない洗練された都市景観が広がります。西口のペデストリアンデッキに直結する北千住マルイ(千住ミルディス)とルミネ北千住は、ファッション、コスメ、書籍、生活雑貨から高級惣菜までを一手に引き受ける巨大要塞です。さらに駅構内には「EQUiA(エキア)北千住」が展開しており、雨の日でも傘を差さずに日常の買い物をすべて完結できます。
しかし、エスカレーターを下りて一歩路地へと足を踏み入れると、風景は一変します。日光街道の宿場町として栄えた歴史を色濃く残す「千住ほんちょう通り」や、老舗の大衆酒場が軒を連ねる通称「飲み横」には、赤提灯の明かりと煮込みの香りが漂います。数十年通い詰める常連の高齢者と、スマートフォンのグルメサイトを手にした20代の若者が、カウンターで肩を並べて酒を酌み交わす光景は北千住ならではの日常です。
一方、東口(電大口)に抜けると空気感は再び一変します。駅前広場の正面には東京電機大学東京千住キャンパスがそびえ立ち、ノートパソコンを抱えた学生たちが行き交うアカデミックな街並みが広がっています。駅から徒歩10分も歩けば広大な荒川河川敷に到達し、週末にはジョギングやバーベキュー、毎年恒例の「足立の花火」を楽しむ人々で賑わいます。最先端の商業、昭和の情情、学生街の活気、水辺の自然が徒歩圏に凝縮されている点こそ、住民の満足度を押し上げている本質的な理由です。