エジプト代表がここまで世界的な注目を集める最大の要因は、言うまでもなく絶対的支柱であるモハメド・サラーの存在です。リバプールでプレミアリーグ制覇やUEFAチャンピオンズリーグ優勝を果たし、世界最高峰のアタッカーとして君臨し続けてきたサラーですが、ナショナルチームにおけるワールドカップの舞台では、常に残酷な運命に翻弄されてきました。
記憶に新しい2018年ロシアワールドカップ直前、UEFAチャンピオンズリーグ決勝で肩を負傷したサラーは、満身創痍の状態で本大会に合流。グループステージ2試合に出場して2ゴールを挙げたものの、チームは3戦全敗で屈辱のグループリーグ敗退を喫しました。さらに2022年カタールワールドカップのアフリカ最終予選では、セネガルとの激闘の末にPK戦で敗退。スタジアム中に照射された無数の緑色レーザーポインターを浴びながらPKを外したサラーの呆然とした表情は、世界中のメディアで悲劇の象徴として報じられました。
モハメド・サラーのエジプト代表での現在は、まさにキャリアの最終章に位置づけられています。年齢的にも今大会がトップフォームで挑める最後のワールドカップとなる可能性が極めて高く、当時の特番インタビューや代表合宿での取材において本人が口にした「自分の名誉のためではなく、エジプト国民に本大会での本当の歓喜を届けることが私の最後の責務だ」という言葉には、悲痛なまでの覚悟が滲み出ています。