長年親しんだリピーターの間では、かつて杉乃井ホテルの中心だった本館の営業終了と解体を惜しむ声が今なお聞かれます。杉乃井ホテルの本館の解体理由については、単なる老朽化だけでなく、ホテル業界の構造変化とオリックス不動産による戦略的なリブランディングが背景にありました。
1960年代から70年代の高度経済成長期に建てられた本館は、当時の主流であった大型団体旅行や社員旅行の受け入れを前提とした設計でした。しかし半世紀以上の歳月が流れ、耐震基準への抜本的な適合が求められたことに加え、旅行者のニーズは「大宴会場と画一的な和室」から「プライベート感を重視した個性的な客室」へと劇的に変化しました。耐震補強を繰り返すよりも、最新の安全基準と高付加価値な設備を備えた新棟へとスクラップ&ビルドを行うことが、長期的な持続可能性を高めると判断されたのです。
この大刷新により、かつての「昭和の大型温泉旅館」というイメージは完全に刷新され、世代を超えて選ばれる最新鋭の滞在型リゾートへと進化を遂げました。過去の歴史を敬いつつも、現代の旅行者が求める高い快適性と安全性を手に入れた点に、杉乃井ホテルが時代を超えて支持され続ける強固な理由があります。