かつて深夜の富士山は、ヘッドライトの光が数珠つなぎになる異常事態が日常化していた。だが、事前予約制と通行料の徴収が定着した2026年、その光景は過去のものとなりつつある。山頂での御来光を目指すだけの「レジャー」から、歴史を辿る「巡礼」へと、人々の意識がシフトし始めているのだ。
この意識改革の恩恵を最も受けているのが、麓の起点である。五合目までバスで一気に登るのではなく、かつての富士講(富士山信仰の集団)のように、一歩一歩自らの足で登るスタイルが再評価されている。この変化は、自然保護の観点からも非常に好ましい動きとして専門家から歓迎されている。