街路で見かける電柱の支線は、単なる転倒防止のロープではありません。電柱の頂部には高圧・低圧配電線、変圧器(トランス)、通信光ケーブルなどが架設されており、これらは常に一方向やカーブ外側へ強い引っ張り力(不平衡張力)を生じさせています。
電柱の支線の役割は、この数トンに及ぶ横方向の力を、斜め45度〜60度の角度で地中に埋設された「支線アンカー」へと逃がし、柱本体の傾斜や基礎破壊を物理的に防ぐことにあります。内部に使われているのは高い引張強度を持つ亜鉛メッキ鋼撚線(スチールワイヤー)であり、万が一電線が強風や着雪で揺れても電柱を垂直に保つよう計算されています。
ワイヤーの下部に装着されている黄色や緑色のプラスチック筒は、「支線ガード」と呼ばれる安全対策部材です。細い金属ワイヤーは薄暗い夜間や降雨時に極めて視認しにくく、歩行者の転倒事故や自転車・自動車の巻き込み事故を引き起こすリスクがあります。蛍光色や高輝度反射シートを備えた支線ガードを地上から約1.5m〜2.0mの高さまで被せることで、第三者事故の未然防止が図られています。