一般的に、魚は「1匹」「1尾」、鳥は「1羽」、牛や馬は「1頭」と数えます。その中で、なぜカニだけが「杯(はい)」という独特の助数詞で呼ばれるのか、疑問に思う人は少なくありません。
「杯」という漢字は本来、水や酒を注ぎ入れる「器」を指します。この漢字がカニの単位として定着した理由には、主に2つの有力な説が存在します。
1つ目は、「甲羅が盃(さかずき)や器に似ている」という形状由来の説です。カニを裏返して甲羅を外すと、まるで丸みのある器のようになります。古くから甲羅を酒器に見立てて「甲羅酒」を楽しむ文化があった日本において、中身を溜められる器のような生き物として「杯」があてられました。
2つ目は、船の積載単位や流通に由来する説です。かつて北前船などの廻船で海産物を運んでいた時代、舟を数える単位である「艘(そう)」や「杯(はい)」から転じ、丸ごと運ばれる大型のカニを「一杯」と呼ぶようになったという経緯もあります。いずれにしても、単なる生き物ではなく「価値ある食材・器」として扱われてきた歴史が背景にあります。