組織の壁を打ち破り、真の技術革新を追求した男といえば、宇宙航空部の財前道生だ。自社製部品による完全内製化という経営陣の絶対方針に対し、技術の優位性と安全性を見極めて外部調達を決断した彼の采配は、現代のサプライチェーン戦略の先駆例といえる。プライドに固執する重役たちを相手に、データと情熱を武器に渡り合ったその姿は、停滞する日本企業への強烈なアンチテーゼとして今も語り継がれている。
この組織変革のドラマは、次世代ロケットの打ち上げや民間宇宙ステーション補給ミッションなど、新たな局面を迎える現在の宇宙開発シーンにも直結している。従来の中央集権的な重厚長大システムから、俊敏な民間技術やベンチャーのノウハウを柔軟に取り入れるハイブリッド型開発への転換。かつて財前部長が下した「優れた技術を持つ町工場との共闘」という決断は、現代の宇宙ビジネスにおいて不可欠な基本思想として実を結んでいる。