かつての大相撲には、新弟子検査において「身長173cm以上・体重75kg以上」という厳格な体格基準が存在しました。この基準を満たすために起きた最も象徴的な出来事が、1990年に行われた舞の海の頭皮へのシリコン注入です。
当時、日本大学相撲部で活躍しながらも実身長が169cmと基準に満たなかった舞の海は、頭皮の下に医療用シリコンを埋め込んで一時的に頭頂部を盛り上げ、見事に新弟子検査を突破しました。激痛と感染症のリスクを冒してまで土俵を目指したこの執念は大きな話題となり、後に相撲協会が体格基準の緩和を検討する契機となりました。
その後、相撲協会は相撲経験者を対象とした第二新弟子検査を新設するなど段階的な見直しを実施しました。背景には、少子化やスポーツの多様化に伴う新弟子志望者の減少という深刻な課題があり、入門の門戸を広げるための柔軟な対応が迫られていたのです。