現在の映画産業は、これまでにないスピードで地殻変動を続けている。NetflixやAmazon Prime Videoをはじめとする巨大ストリーミングサービスの台頭は、映画の製作規模や流通のスピード感を根本から書き換えた。スマートフォンやタブレットを開けば、世界中のあらゆる映像に即座にアクセスできる利便性は日常のものとなった。
しかし、選択肢が無限に広がりすぎたことで、逆説的に「今夜、何を観ればいいのか分からない」という選択の疲弊に陥るユーザーも増えている。あらかじめプロの手で厳選され、決まった時刻に届けられるテレビの映画放送は、偶然の出会い(セレンディピティ)を生み出すメディアとして、その存在価値を静かに、だが力強く再定義しているのだ。