腹水が溜まっているかどうかは、特別な医療器具がなくても自宅である程度スクリーニングすることが可能です。医療現場で医師が実際に行う身体診察(フィジカルアセスメント)の知見をベースにした、3つのセルフチェック法を紹介します。
1. 仰向けになった時の形状変化(「カエル腹」の確認)
立った状態と、仰向け(背臥位)に寝た状態でお腹の形がどう変化するかを鏡で観察します。皮下脂肪や内臓脂肪であれば、仰向けになっても脂肪組織自体の弾力性によってお腹の頂点は前方に突き出た形状を保ちます。一方、液体である腹水が溜まっている場合、重力に従って水分が左右の脇腹へと流れ込みます。その結果、お腹の中央が平らに沈み、両脇腹が横へだらしなく広がって張り出す「カエル腹(蛙腹)」と呼ばれる特有のシルエットを呈します。
2. 腹水の波動テスト(Fluid Wave Test)のやり方
腹水がある程度貯留している場合、内部の液体が波となって対角線上に伝わる「波動」を感知できます。できれば家族やパートナーに協力してもらうと確実です。
まず仰向けになり、第三者(または自分)の手のひらをお腹の中心線(おへその縦ライン)に軽く立てて当てます。これは皮下脂肪自体の揺れが伝わるのをブロックするための重要な防波堤です。その状態で、片方の脇腹を指先でリズミカルに軽く叩いて(トントンと弾くようにタップ)みてください。もし腹水が大量に溜まっていると、反対側の脇腹に添えた手のひらへ、水風船を叩いた時のような「チャプン」とした液体の衝撃波がはっきりと伝わります。
3. おへその変形と下肢の圧痕性浮腫(むくみ)
お腹の内圧が極端に高まることで、おへそが外側に押し出されて飛び出る「でべそ(臍ヘルニア)」化していないかを確認してください。また、すねの骨の上を親指で5秒間強く押し込んだ際、指を離しても皮膚が戻らず深い窪みが残る「圧痕性浮腫」が両足に出ている場合、体全体の循環血液量やアルブミン値の異常によって腹水が併発している可能性が極めて濃厚です。