無限城の深部で対峙した善逸と獪岳。鬼の再生力と強化された雷の呼吸で善逸を圧倒し、重傷を負わせた獪岳は勝利を確信していました。「お前のようなゴミと俺は違う」「じいちゃんも見る目がなかった」と嘲笑を浴びせ続ける獪岳に対し、善逸が放ったのは、師匠から受け継いだ型ではなく、自らが独自に編み出した唯一無二の技でした。
雷の呼吸 漆ノ型 火雷神(ほのおいかずちのかみ)。神速を超えた稲妻の龍が空間を切り裂き、獪岳の視界が反応する間もなく、その首は宙を舞いました。自分が使えない壱ノ型から派生した完全なる新技によって討たれたという事実は、獪岳の肥大化した自尊心を根底から粉砕するものでした。
崩壊していく首だけの状態で、獪岳は「善逸も技の反動で落ちて死ぬはずだ、引き分けだ」と自分に言い聞かせ、最期まで相手の不幸を願っていました。しかし、重傷の善逸を救出した鬼殺隊の協力者・愈史郎(ゆしろう)が投げつけた宣告は、獪岳の全存在を全否定する無慈悲な真実でした。
「人に与えない者はいずれ人から何も貰えなくなる。欲しがるばかりの奴は最終的に何も持っていないのと同じ。一人で死ぬのは惨めだな」
アニメ映画において声優・細谷佳正が見事に演じ切った獪岳の断末魔は、圧倒的な迫力とともに、承認を求め続けながら誰一人として心を通わせる者のいなかった男の「絶対的な孤独」を浮き彫りにしました。誰からも悼まれることなく、塵となって無限城の闇に消えていった最期こそが、彼が選び取った身勝手な生存戦略の結末でした。