東名高速道路下り線の大井松田ICを抜け、山岳地帯へと差し掛かる地点にそびえる都夫良野トンネル(下り線右ルート:約2,150m、左ルート:約2,000m)。ここで発生する事故の多くは、単なる一台の単独スリップにとどまらず、大型トラックを含む4〜5台規模の多重衝突事故へと発展する傾向が顕著です。
神奈川県警高速隊やNEXCO中日本の記録を紐解くと、都夫良野トンネル内で発生する事故の約7割以上が「サグ部における無意識の速度低下」と「トンネル進入時の明暗順応遅れ」に起因しています。急勾配を登坂する手前の下り坂でスピードに乗った車両群が、トンネル内部の勾配変化(サグ)によって無自覚に時速20〜30kmほど減速。そこへ適切な車間距離を確保していなかった後続車がノーブレーキに近い状態で追突し、玉突き事故が連鎖するパターンが極めて典型的です。
さらに深刻なのが、大型貨物車のブレーキ過熱(フェード現象・ベーパーロック現象)やタイヤバーストによるトンネル内火災事故です。過去の事例でも、密閉された長大トンネル内での火災は猛烈な黒煙を充満させ、大井松田IC〜御殿場IC間の完全通行止めを引き起こす主因となってきました。