岡山の美術館巡りで「人生観が変わるほどの衝撃を受けた」と語られることが多いのが、県北の奈義町現代美術館(Nagi MOCA)と、瀬戸内海に浮かぶ犬島精錬所美術館です。ただし、この2館はアクセス難易度が高く、事前の下調べなしに向かうと痛い目を見ることになります。
ネット上の投稿や来館者のリアルな声を集約すると、奈義町現代美術館の評判と口コミには共通する熱狂が見られます。「磯崎新氏による建築とアーティストの作品が完全に一体化している」「円筒形の展示室『太陽』の内部で傾斜した床に身を置くと平衡感覚が揺らぎ、不思議な瞑想状態に入る」といった絶賛の声が並びます。荒川修作+マドリン・ギンズの『太陽』、岡崎和郎の『月』、宮脇愛子の『大地』という3つの常設インスタレーションは、五感を直接揺さぶる体験です。ただし、現場取材で見えたリアルな注意点は「津山駅からのバス運行本数の少なさ」です。1日わずか数便の路線バスやコミュニティバスを逃すと、往復のタクシー代だけで1万円近い出費になるケースもあり、レンタカーの利用が最も現実的な選択肢となります。
離島アートの代表格である犬島精錬所美術館アクセス経緯も、旅の手腕が試されるルートです。かつて銅の製錬で栄えた島の近代化産業遺産を再生した同館へ行くには、岡山市街地からJR赤穂線で西大寺駅へ向かい、そこからバスまたはタクシーで宝伝港へ移動、さらに定期船で約10分揺られる必要があります。直島のように大型フェリーが頻発しているわけではないため、宝伝港発の船便時刻(午前便・午後便の接続)に合わせた厳密なタイムスケジュールが求められます。
しかし、黒煙を吹き上げていた当時のカラミ煉瓦を再利用し、自然エネルギー(地熱と太陽光)のみで館内換気をまかなう三分一博志氏のエコシステム建築と、柳幸典氏による三島由紀夫をモチーフにした強烈な作品群に足を踏み入れた瞬間、アクセスの労苦は完全に報われます。