日用品売り場や100円ショップの棚に並ぶ掃除用品の中で、「水に流せる」という利便性は消費者の購買意欲を最も刺激する強力なセールスコピーです。ところが、その信頼を根本から揺るがす事態が発生しました。消費者庁および関係自治体が、市販されていた一部の流せるお掃除シートや水解性ペーパー製品に対して、景品表示法違反(優良誤認)に基づく措置命令を相次いで下したのです。
行政処分を受けた事業者の製品は、パッケージに「使用後はそのままトイレに流せます」と目立つフォントで謳っていました。しかし、消費者庁や独立行政法人国民生活センターが実施した再現試験において、水流による撹拌(かくはん)を加えても繊維がほとんど分解されず、排水トラップや配管内部にそのまま留まり続けることが判明しました。つまり、一般消費者が想定する「トイレットペーパーのように速やかにほぐれる性能」を実際には備えていなかったのです。
国民生活センターには「指示通り1枚だけ流したのに翌日水があふれてきた」「業者を呼んだら奥の配管から原形をとどめたクリーナーが何枚も引き揚げられた」といった生々しい被害相談が毎年コンスタントに寄せられています。行政が厳しい措置に踏み切った背景には、単なる誇大広告の是正にとどまらず、個人の家財被害や集合住宅全体を巻き込むインフラ事故へ発展する深刻なリスクが存在していたからです。