店名にある通り、鴨と対をなす主役が「葱」です。この店では、ラーメンを注文したすべての客に対して「今月の葱」を選ぶ権利が委ねられます。カウンターや食券機横に掲示板が設けられており、産地や品種の異なる3種類の葱の中から、好みの2種類を自由に組み合わせることが可能です。
例えば、ある月のラインナップでは以下のような特徴的な葱が用意されます。
・「千住葱(丸太白葱)」:太めに輪切りされ、じっくりと焼き色をつけて甘みを極限まで引き出した王道。
・「国産九条葱」:シャキシャキとした食感と爽やかな辛味、鮮やかな緑がスープの熱でしんなり馴染む逸品。
・「季節の旬葱(深谷葱や白神ねぎなど)」:時期ごとに最も糖度とみずみずしさが際立つ産地指定の葱。
鴨の力強い動物性油脂に対して、加熱された葱のアリシンや甘みが溶け出すことで、丼の中で完璧な調和が成立します。同じスープであっても、選ぶ葱によって一口ごとの輪郭が劇的に変化するため、通い詰めるファンにとっては「葱の選択」そのものが訪問時の醍醐味となっています。
また、トッピングの主軸を担う「鴨コンフィチャーシュー」も見逃せません。パサつきや特有の血生臭さが出やすい鴨肉を、徹底した温度管理のもと低温調理(コンフィ)で仕上げています。ロゼ色の美しい断面を保った鴨肉は、しっとりとした柔らかな歯触りで、噛み締めるほどに凝縮された肉汁が溢れ出します。スープの熱で過度に火が通る前に味わうのが、鴨肉のポテンシャルを余すところなく堪能するプロの作法です。