セル内改行をめぐる混乱の多くは、利用環境による入力コマンドの差異から生まれる。キーボードの配列やシステム設計が異なる以上、押すべきキーの組み合わせが分かれるのは必然だ。
Windows環境における基本解は「Alt + Enter」だ。対象のセルをダブルクリックするか、数式バーにカーソルを置いた状態でこの2つのキーを同時に押せば、枠線の中で綺麗にテキストが改行される。一方で、macOSユーザーの前に立ちはだかるのは「どの修飾キーを選ぶべきか」という迷いだ。Mac版のMicrosoft Excelでは一般的に「Option + Return」または「Control + Option + Return」の入力が求められる。Commandキーを軸に操作を組み立てがちなMacの操作体系に慣れている人ほど、この特殊なコンビネーションで指をもつれさせやすい。
さらに見落とされがちなのが、キーを押した後の表示設定だ。ショートカットキーで正しく改行コードを打ち込んでも、リボンメニューにある「配置」エリアの「折り返して全体を表示する」が有効になっていなければ、入力したテキストはセルの境界線を越えて右側へと消えていく。「改行が入らない」とパニックになる現場の半数以上は、単にこの表示スイッチがオフになっているだけに過ぎない。