退社発表当時、一部週刊誌やネット上では「局内の人間関係の軋轢か」「ギャラへの不満か」といった憶測が飛び交いました。しかし、退社にまつわる本人のインタビューや周辺関係者の証言を丹念に拾い上げると、まったく異なる本質が浮かび上がります。
決定的な転機となったのは、2021年の第1子出産と育児経験でした。不規則な勤務体系が常態化するテレビ報道の現場に身を置きながら、ひとりの母親として子どもの成長を見守る中で、「自分自身の時間資源をどのように社会へ配分すべきか」を深く自問自答するようになったと語られています。
さらに、出産・育児を通じて医療関係者や社会保障システムの恩恵を肌で感じたことで、「情報を伝える側」から「人々の生命や健康を支えるインフラそのものを創る側」へと貢献意識がシフトしました。テレビ東京の社員として定年まで勤め上げる道は十分に開かれていたものの、30代という気力・体力が最も充実した時期に、未知のビジネスセクターで汗を流したいというプロフェッショナルとしての渇望が退社を後押ししたのです。