現場を最も震撼させているのが、残業規制のさらなる厳格化と逃げ道のない労務管理体制の義務づけだ。かつては猶予措置の対象だった業界や中小企業に対しても、時間外労働の上限規制の包囲網が完全に完成しつつある。月45時間、年360時間という原則基準の遵守はもちろん、特別条項の適用基準やインターバル制度の義務化を巡る議論は、企業の稼働体制を根本から揺るがしている。
「知らなかった」では済まされない。見落としが招くのは、労働基準法違反による刑事告発や、企業名の公表という破滅的な罰則リスクだ。とりわけ経営者が警戒すべきは、労基法第119条以下に定められた罰金や懲役刑の直接適用である。書類送検の事実がひとたび外部に漏れれば、採用市場からの完全な退場を余儀なくされ、取引先からの契約解除ドミノを引き起こす。コンプライアンス違反が即座に経営破綻の引き金となる時代が、現実に到来している。