本作を伝説的な名作たらしめている最大の要因は、小泉今日子と中井貴一という二大名優による圧倒的な演技の化学反応だ。二人の間で繰り広げられるマシンガントークのような喧嘩と軽妙なやり取りは、ほぼアドリブではないかと錯覚させるほどの圧倒的なリアリティを誇る。
「千明」「和平さん」と呼び合いながら、お互いの弱点や痛いところを突き合う姿は、恋人未満・友達以上の絶妙な境界線を行き来する。お互いを尊重しつつも決して容赦はしない。この成熟した大人同士のリズム感と間合いの取り方は、現代のドラマシーンにおいても類を見ないクオリティであり、観る者を一瞬でドラマの世界観へと引き込む力を持っている。