「液晶画面の向こうにある情報ではなく、実際に手で触れ、重みを感じられるものに価値を見出す人が増えています」。そう語るのは、都内でセレクトショップ型の器店を営む30代の店主だ。
デジタルテクノロジーが高度化し、AIが日々の業務を最適化する2026年の社会だからこそ、逆説的に「人間の手仕事」が持つ揺らぎや温もりが強く求められている。個体差のある陶器は、効率化の極致に対するアンチテーゼなのだ。一枚ごとに微妙に異なる色合いや釉薬の垂れ具合は、大量生産品には決して真似できない。SNSで美しい食卓の写真が日常的にシェアされる文化も後押しし、「普段の自炊料理を、お気に入りの皿で引き立てたい」というリアルな欲求が定着した。