脳内で欲求を引き起こす主役は、神経伝達物質のドーパミンだ。ドーパミンは快楽そのものを生み出すのではなく、「快楽が得られるかもしれないという期待」を高める作用を持つ。SNSのタイムラインを無限にスクロールするとき、あるいは目の前のジャンクフードに手を伸ばすとき、脳内ではドーパミンが激しく分泌されている。
現代のテクノロジーやサービスデザインの多くは、このドーパミン回路を意図的に刺激する設計になっている。結果として、本来生命を維持するための健全な欲求回路が過剰に駆動され、脳の実行機能を司る前頭前野が疲弊してしまう。この状態に陥ると理性的な判断力が鈍り、短期的な快楽に流されやすくなるのだ。