日本の本格的なインド料理の歴史は、ひとりの男の強い信念から始まった。創業者であるA.M.ナイル(アユッパン・ピライ・マドハヴァン・ナイル)氏は、祖国インドの独立運動に身を投じながら、日本へと渡ってきた人物だ。
当時の日本で「カレー」といえば、小麦粉でとろみをつけた欧風カレールーが当たり前だった時代。そこにA.M.ナイル氏は、本場のスパイス調合と伝統技法を持ち込んだ。単に珍しい料理を提供するだけではない。食を通じて日印の架け橋になりたいという熱烈な想いが、銀座本店という象徴的な場所に結実したのだ。