東京五輪辞任劇の裏側と未公開発言:森喜朗失言が問う政界の深層

東京五輪辞任劇の裏側と未公開発言:森喜朗失言が問う政界の深層

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森喜朗元首相の政権運営は、まさに言葉を巡る試練の連続だった。2000年に急逝した小渕恵三首相の後を襲う形で誕生した森内閣は、その成立過程から「密室で決められた」との批判を背負っていた。そうした不信感のなかで飛び出したのが、神道政治連盟国会議員懇談会の三十周年記念祝賀会における「日本は天皇を中心としている神の国」という発言である。

政教分離の原則や主権在民の憲法精神に反するとの猛反発が巻き起こり、野党は一斉に攻勢を強めた。さらに翌2001年、愛媛県立宇和島水産高校の練習船「えひめ丸」がハワイ沖で米原子力潜水艦と衝突した事故の際、報せを受けながらゴルフのプレーを継続していた事実が発覚。世論の怒りは頂点に達し、内閣支持率は一桁台という前代未聞の暴落を記録した。

自由民主党内でも「森下ろし」の動静が加速し、政権は短命で幕を閉じる。しかし、これらの騒動は単なる個人の資質の問題にとどまらず、旧態依然とした自由民主党派閥政治の構造的限界を浮き彫りにした出来事でもあった。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。