「餡造りは、小豆との対話そのもの。機械の数値を信じるのではなく、豆の声を聞かなければならない」と語るのは、神谷勝氏だ。和菓子製造業が直面する後継者不足や原材料費の高騰という逆風の中でも、同氏は伝統の理念を頑なに保持しながらも、柔軟な革新を推し進めてきた。
特に看板である小倉あんに対するこだわりは格別だ。大納言小豆の皮の張りと、ベースとなる滑らかな餡との立体的なバランス。一口食べた瞬間に広がる豊潤な香りと、引き際の潔い後味。職人の精神論だけに終わらせず、次世代へ技を継ぐための体系化にも取り組む姿は、業界全体に新たな光を投げかけている。