漢字本来の読み方とは大きく異なる命名が注目を集めるようになった起点として、1993年に起きた悪魔ちゃん命名事件が挙げられる。生まれたばかりの男児に「悪魔」と名付けようとした親の出生届に対し、市役所が受理を拒否。社会的な波紋を広げたこの出来事は、親の命名権と子供の福祉の衝突を公の場に突きつけた最初の大事件だった。
時を同じくして1993年に創刊された育児雑誌のたまごクラブなどのメディア文化も、名付けの多様化を後押しした。当て字や海外風の響きを組み合わせた華やかな名前が提案され、従来の伝統的な命名慣習から抜け出す若者世代の選択肢として受け入れられていったのである。