当時の熱狂を覚えているだろうか。シンガーソングライターの川本真琴のツイートを発端に、突如として表舞台に現れた加藤紗里。そして、疑惑の中心にいながらもどこか憎めないキャラクターで釈明会見に臨んだ狩野英孝。テレビのワイドショーは連日、この奇妙な三角関係(いや、実際にはそれ以上の複数交際疑惑)をトップニュースで報じ続けた。
世間のバッシングは凄まじかった。しかし、加藤紗里の徹底した「悪女ヒール」としての立ち振る舞いと、狩野英孝の計算なのか天然なのか分からない「神がかったズレ方」は、単なるドロ沼劇をどこかコミカルな劇場型コンテンツへと昇華させていった。あの狂騒曲は、昭和や平成初期のスキャンダルとは明らかに異なる、SNS時代の幕開けを告げる象徴的な事件だったと言える。