人間の数千倍から数万倍とも言われる動物の嗅覚。人間が気にも留めない化学物質の微小な比率が、彼らの評価を瞬時に左右している。最新のバイオセンサー技術は、人間が緊張や恐怖を感じた際に分泌されるコルチゾール代謝物と、穏やかな精神状態にある時の揮発性オーガニック化合物(VOC)の違いを明瞭に描き出した。
強烈な人工香水や柔軟剤の匂いをまとった人物は、それだけで動物の嗅覚受容体に強いストレスを与えるため嫌われやすい。一方で、体内酸化ストレスが低く、自然な代謝状態を保っている人物から漂う微量の皮膚ガスは、動物に威圧感を与えない。言葉を交わす前に、皮膚から立ち上る化学物質がその人物の「危険度ゼロ」を証明しているのだ。