台風や線状降水帯による集中豪雨の直後、深北緑地のテニスコートや芝生広場が泥水に沈み、まるで広大な湖のような姿に激変する光景は、初めて目にする人にとって衝撃的な映像として映ります。ネット上では「公園の設計ミスではないか」「排水設備が壊れたのか」といった疑問の声が散見されますが、深北緑地の水没は計算され尽くした「遊水地(調節池)」機能の作動によるものです。
大阪府都市整備部および治水関係資料によると、寝屋川流域は周囲を山と川に囲まれた「すり鉢状の低平地」であり、古くから大雨による内水氾濫に悩まされてきた歴史があります。都市化が進んだ昭和後期以降、雨水が一気に川へ流れ込むようになったため、河川の氾濫を防ぐ大規模な受け皿が必要となりました。
そこで誕生したのが「深北緑地(寝屋川流域調節池)」です。平時は府民がスポーツやレクリエーションを楽しめる緑豊かな公園として開放し、豪雨時には越流堤(えつりゅうてい)を通じて隣接する寝屋川・鍋田川の増水した河川水を計画的に園内へ流入させます。最大約140万立方メートル(東京ドーム約1.1杯分相当)の雨水を貯水できるキャパシティを備えており、下流域の大東市、寝屋川市、守口市、大阪市などの住宅街が浸水被害に見舞われる危機を最前線で食い止めています。
園内は標高ごとにAゾーン(テニスコートや多目的広場など最も低く最初に水が入るエリア)、Bゾーン、Cゾーン(恐竜広場など一段高いエリア)と段階的に設計されており、雨量に応じて安全に水をコントロールする仕組みが確立されています。