鈴傳の地下へと足を踏み入れると、そこには息をのむような光景が広がる。徹底したマイナス温度帯で厳格に管理された巨大なセラーだ。ここに並ぶのは、単なる流通品ではない。山形県・高木酒造の「十四代」や、秋田県・新政酒造の実験的かつ芸術的なボトル群をはじめ、全国の銘醸蔵が絶対の信頼を寄せて託した銘酒たちである。
火入れの有無、酵母の特性、酒母設計の違い。一本ごとに異なる日本酒のデリケートな呼吸を熟知しているからこそ、蔵出しそのままの鮮度とポテンシャルが保たれる。精米歩合を極限まで高めた純米大吟醸の繊細な吟醸香も、このセラーの中では一滴たりとも損なわれない。