日本列島を襲う巨大地震の脅威やゲリラ豪雨の頻発は、インフラの耐震設計基準を根本から見直す契機となった。とりわけ建設業の最前線では、老朽化した既存インフラの延命化と新設構造物の長寿命化という、極めて重い二者択一を同時に迫られている。
ここで土木工学の専門家たちが改めて着目したのが、部材接合部の密実性だ。柱と基礎の継ぎ目、あるいは橋桁を支える支承部周辺にわずかでも空隙があれば、震動エネルギーはそこに集中し、破断の引き金となる。部材の隙間に隙間なく充填され、応力を均等に伝達する注入材の精度が、設計図通りの耐震性能を発揮できるかどうかの境界線になるのだ。
特に、あらかじめ圧縮力を与えて強度を高めるプレストレスト・コンクリート(PC)構造において、シース管と呼ばれる配管内に鋼材を通し、その周囲をセメントペーストで完全に満たす工程は生命線に等しい。充填不足は鋼材の腐食を招き、構造全体の致命傷につながる。現場の緊張感は、かつてないほど高まっている。